自閉を活かす  コロロ発達療育センター

185-0002 東京都国分寺市東戸倉2-10-34



 コロロ発達療育センターは広汎性発達障害や自閉症など、言語認知面に問題があるために、コミュニケーションがとりづらい、集団参加や社会適応が難しい、などの困難をもつ子ども達のための教育機関です。20年以上の実践の中で、独自に開発した「コロロメソッドー発達を促すプログラム」に基づいた療育活動を行なっています。
 どのような言語レベルのお子さんでも取り組めることばの概念学習プログラム、こだわりやパニックなどの問題行動に対する具体的な対応プログラム、自立歩行・着席の持続など基本的行動のトレーニングプログラムなどがあります。
 幼児教室、学童教室、フリースクール、中高生作業教室など、幼児から高校生まで、幅広い年齢に対応し、将来を見据えたプログラムを立てています。また、コロロ発達療育センターが母体となって設立した社会福祉法人コロロ学舎は、知的障害者入所更生施設瑞学園、及び知的障害者通所更生施設そうせい学苑を運営しており、まさにトータルケアの実践モデルとなっています。
 コロロメソッドの特徴として、集団のダイナミクスを用いた療育を行なっているという点があります。整然とした、見て分かりやすい集団で療育を行うことで、集団が苦手な子ども達も無理なく適応行動を身につける事ができるのです。
 また「療育の主体者は親である」という考えのもとに、家庭での療育プログラムを組み実践していただきます。親が一番の療育者となることで、幼稚園、学校、職場…ととりまく生活環境や人が移り変わっても、適応行動が取りやすくなるのです。
 コロロメソッドでは、子どもの行動を、「脳のどこが働いているか」という視点から分析します。より上位の脳である大脳新皮質・前頭前野を働かせることをめざし、同時により下位の脳・脳幹レベルの行動を抑制する対応をしていきます。
 そして効果的な療育の実践のためには、療育者のことばかけのタイミング、接触の仕方、表情などの要因や、集団のまとめ方などの指導技術が欠かせないと考え、講座や書籍を通じて広くコロロメソッドについてご紹介しています。
 「いつでもどこでもだれとでも」「一人として排除しない」という理念のもとに、障がいをもっていても落ち着いた社会生活をおくれることを目指して療育活動を行なっています。


※ 事例検証 ※  無発語から発語へ  (発達プログラム101号より)
発達障害の療育専門機関で「発語は難しい」と判断されながら、コロロの発達プログラムで見事発語を獲得した実践例

          T君の発語プログラム

2歳  学習の準備  (体幹支持、ユアペースの獲得)
     ・ 歩行
     ・ 立位
3歳  導入      【実物、カードの弁別】
     ステップ1   【同型マッチング】
     その他     【抽出法】
4歳  ステップ4   【異型マッチング】
     ステップ2   【動作模写】
     ステップ3   【定位模写】
     ステップ5,6 【書字】
     ステップ20   【絵カードを見て発語】
     ステップ17   【数】
     ステップ19   【属性の書字(色物数)】
     ステップ18   【動作語の書字】
     ステップ21   【字カードで発語】
5歳  ステップ26   【判断学習】
     ステップ27   【関係概念】
6歳〜8歳
     ステップ28   【文章題】
              【5W1H、因果関係、感情のことば】
9歳  ステップ33   【絵日記を書く】
10歳〜12歳     【二者関係、文章読解】
13歳〜現在      【常識、マナー、会話練習】    


       コロロの発語プログラム  33ステップ

  無シンボル期  ステップ1〜6    「マッチング、書字」
  視覚語期     ステップ7〜11   「口型模倣、一字一音の気づき」
  聴覚言語期   ステップ12〜19  「ききとり、音声模倣、属性の書字」
  受動的発語期  ステップ20〜29  「カードを見て発語、ことばの模倣」
  自発的発語期  ステップ30〜33  「自発語の誕生、会話」

【自閉症児 [言語認知障害児] の発語プログラム〜無発語からの33ステップ〜】 より



自閉症・言語認知障害児の療育課題 (発達プログラム94号より)

ートータルケアの視点からー

年 齢 基本課題 行動 ・ 生活 概 念
幼 児 (0〜5才) @ 睡眠リズム


A 行動リズム


B 意識レベル
  
(異常反射の抑制)


C こだわり


D ユアペース度
・ 歩行の確立
  (重心の自体内保持)
・ 食行動
・ 集団行動
・ 着席注視
・ 模倣
学 童 (6〜12才) ・ 四肢の協応
   身辺処理機能
   道具の使い方
   運動機能
・ 生活ルール
・ サイン言語の獲得

・ やりとり

・ 教科学習
思春期(13〜20才) ・ 生活技能
   社会ルール
   美しい動作
   余暇行動
・ 衝動のコントロール
成 年 (20〜40才) ・ 親離れ
  
(いろいろな人の支援を受けられる)
・ 仕事 (役割・技能)
・ 変化のあるメニュー
・ ことばを使う生活

・ 見通しを持った生活
壮老年 (40才〜) ・ 健康
・ 老化防止


基本課題・・・・・トータルケアの療育課題を考える前に、まず自閉症療育において年齢を問わずおさえておかなくてはならない基本課題を抜き出してみます。いずれも自閉症状の特徴といえます。
@ 睡眠リズム

 睡眠障害を持つ自閉症児は多く、睡眠が十分に取れないことが日中活動に影響してしまうこともあります。睡眠と覚醒のリズム(バイオリズム)を24時間周期に整えるためには、「日中十分に活動すること」(起きていてもぼんやり、ゴロゴロとしていたのでは夜眠れません)が第一です。頭も体も良く使う活動プログラムがどの年齢でも必要です。
A 行動リズム

 手たたきなどの常同行動が、一定の周期で繰り返されるような体のリズムを「行動リズム」と呼びます。座っていたかと思うとすっと立ち上がってちょっと歩いてまた座る・・・一定の行動が続かないで落ち着きがないのは、「あきっぽい性格だから」という問題ではなく、行動リズムの乱れによるものです。行動リズムが小刻みなのは自閉症児の特徴のひとつで、多動といわれる子はもちろん、逆に固まって動かなくなってしまう子(寡動)も行動リズムが乱れています。いろいろな技術を身につけても行動リズムが乱れていると一定の作業を続けて行うことが出来ません。行動リズムを調整するためには「〜し続ける」(歩き続ける・座り続ける・見続ける・やり続ける・・・)ことを訓練するプログラムが有効です。最も取り組みやすいのは歩行(1時間以上休まず歩く)や着席(20分以上座り続ける)などのプログラムです。
B 意識レベルの保持・反射の抑制

 覚醒しているとき私たちの脳は興奮していろいろな情報が処理されています。大脳新皮質の前頭前野という部分が情報処理をしていると考えられています。この部分がうまく働いている時は「意識レベルが高い」時で、頭を使っている考えている状態です。自閉症児は意識レベルが高い状態を維持しているのが難しいようです。意識レベルが下がると無目的な常同行動がでたり、反射的な運動が出てしまいます。歩いていても急に飛び跳ねたり、食べているのに急に舌で食べ物を押し出してしまうのは、乳幼児期の原始反射が体に残っているためで、それが意識レベルの低下によって引き出されるのです。
 意識レベルの低下を減らすには、今何をすべきか目的をはっきりさせそれが見て分かるように環境設定することです。「座るときはみんな座る」「立つときはみんな立つ」というように、集団を上手に使っていくと効果的です。さらに反射を出にくくするためには指導者が上手に援助していくことが必要です。
C こだわり(パターン反応)の低減

 一度やったことがパターン化してしまう「パターン反応」は自閉症の認知の特徴だといえます。コロロメソッドの「最初からよいパターンを作る(まちがえさせない)悪いパターンは繰り返さない」という指導方針は自閉症のパターン反応を活用したものです。学習もパターンを利用すると文字書きや、やりとりが教えやすくなります。
 その一方でパターンを壊されるとパニックになってしまう「こだわり」の問題があります。激しいこだわりは自閉症児の社会適応を阻む要因になります。こだわりの改善なくして(こだわりの活用だけでは)自閉症者の処遇の改善は困難です。
 まず、こだわりを崩されることに慣れること、崩せる小さなこだわるから崩し、違うパターンを経験させることです。これが耐性トレーニングです。スケジュールや道順や配置などを意図的に変えていくのです。
 そしてもう一つは、まさに自閉症状の本質である「パターン反応・パターン認識」を変えていくことです。ことばを使った概念学習がその道筋を照らすでしょう。
D マイペースの抑制とユアペースの獲得

 集団と一緒に行動できるようにすることでマイペースな行動を減らしてゆきます。なにか思い立つと走って行ってしまうとか、待てないとか、全部自分でやりたがるとか、一方的にしか話さないとか・・・といったマイペースさは自発性といわれることもあるでしょう。「自分でも出来るけれど相手にも合わせられる」という状態を目指すには、集団行動を徹底して練習してゆくことが効果的です。



コロロメソッドでは、次のような段階を踏んで指導しています。

第一段階

マイペースの行動

・・・・・原始的パターン運動

第二段階

相手に合わせられる

・・・・・良いパターンを活用
    まずコロロの集団に順応

第三段階

どの相手にも合わせられる

・・・・・パターンこわし(耐性トレーニング)
    あらゆる集団・環境への順応

第四段階

自発的行動・言語生活

・・・・・言葉を用いて自発的行動を起こすようになるとともに、内言語によって行動をコントロールする



コロロメソッド




上記がコロロメソッドを大まかに図解したものです。

自閉症児がかかえる、こだわり・常同・パニックその他様々な問題行動を解決していく為に、タイミング法と抑制系を上手く使い行動トレーニングや耐性訓練学習によって、集中力・持続力(耐性)自己コントロール力をつけさせ、さらに発語プログラムによって発語を促し概念学習を結び付け、子供をよりよい状態に引き上げてゆくものである。 又、登山・DR(ダイナミック・リズム)もコロロメソッドでは、大きな特色であることも付け加えておきます。



行動トレーニング・耐性訓練

自閉症児が抱える様々な問題行動(常同・パニック・多動・寡動)が起こる原因は、意識の落ち込みと耐性力・持続力が無いことにある。これへの対処法として行動トレーニング・耐性訓練などがあげられる。

  詳しくは・・・発達プログラム No.28  行動トレーニング
                    No.62  母と子の実践重心トレーニング
                    No.61  集団自立歩行の効用
                    No.55  耐性トレーニングの意義と方法
         Q&Aコーナーなどを参照下さい。

問題行動の対応法    発達プログラムbR7より
 障害を持った子ども達が起こす不機嫌反応や突発的行動は、ほとんどが、言葉の概念が理解できないことに原因しています。そして、そのような困った行動は、特定の場面で特定の刺激に対して引き起こされることが多いものです。
 
 例えば、一定の環境に変化が生じた時に引き起こされるパニックは、その代表的なものと言ってよいでしょう。「これこれこうだから仕方ないのよ!」という説明言葉が理解できないために、同じ場所で同じ人と同じ事を、経験した映像どうりに繰り返そうとする子どもが、変化に適応できず烈火の如く怒り出してしまう現象です。
 
 または、お母さんとある公園に行くと、決まってよちよち歩きの子を突き飛ばしてしまうというような行動も特定場面における突発的な行動です。「小さい子を押してはイケナイ。アブナイでしょう。ケガするでしょ。カワイソウでしょ。」といろいろ言葉を並べたところで状況は繰り返されるばかりです。


 そのため、将来的に言葉での説明が理解できるようになるまでの間、「耐性トレーニング」が必要になってきます。耐性トレーニングとは、子ども自身の中にグッとこらえる力を付けていき、変化や突発的な行動を抑制しようというものです。

 方法としては、その子どもにとってやや不快な刺激を、意図的・計画的に注入していきます。やや不快というところがコツで、不快過ぎても、全く平気なものでもトレーニングになりません。少しぐずるかもしれないが、これなら乗り越えられるはずだと思うものをステップを踏みながら、練習していきます。

 
1日2回から徐々に回数を増やしていき、1日10回くらい注入されてもパニックを起こさなくなって来ている頃を見計らって、次に、思い切って特定場所を設定して忍耐力を試してみます。多少ぐずっても、我慢できればまずまずでしょう。万が一パニックを起こしてしまったなら、まだ耐性力が十分でないので、やや不快な刺激を注入する段階へ戻せば良いのです。

 
耐性トレーニングには4つの段階があります。(石井聖著『自閉を超えて』上巻116ページ参照)この段階を踏まえながら、具体例をあげてお話ししましょう。

 
例1.幼稚園降園後の帰り道、決まってAマートに寄って買い物をする爽君母子。ある日、Aマートの文房具コーナーへ行き、お母さんは爽君に、並んでいる中からクレヨンの箱を選ばせレジでお金を払って家へ帰りました。翌日、妹の分のクレヨンを買いに、爽君と降園後またAマートへ寄り、爽君にクレヨンを取らせました。3日目、いつものように降園後Aマートへ寄ると、爽君はサッと文房具コーナーへ行きクレヨンの箱を持ってレジまでまっしぐら。お母さんは、慌てて爽君に「今日は買わないわ。」と言いながら爽君の手からクレヨンの箱を取ったとたん、爽君は床に大の字になって泣き叫びだしました。その後何をしても泣き止まないので、爽君を抱えるようにして帰りました。その後、Aマートの文房具コーナーで母親の顔を見て泣くようになってしないました。

<爽君のパニックの原因>
 
@幼稚園の帰り、Aお母さんと二人、BAマートで、Cクレヨンの箱を取る、という4つの条件が重なった場面(特定場面)において、自分でレジまで持っていくというパターン行動が変えられた。

<爽君の耐性トレーニング>

第一段階・・・百花繚乱期(全面受容)
        パニック・不機嫌状態を避ける。期間は3日くらい。
 例1、前もって買い物をしておき、Aマートへ行かなくて済むようにしておく。
 例2、Aマートへ行きたがった時は、Aマートへ行き行動を見守る。クレヨンを自分で取りレジへ持っていかせることもやむを得ない。
 例3、場合によっては、降園に車を利用。

第二段階・・・過渡期
        パニックを警戒しつつ、訓練開始。
1日2回から、ちょっと嫌だけど乗り越えられるような不快刺激を注入。徐々に回数を増やし、1週間後10回にまで。不快刺激の注入は、意図的計画的に行わないと効果はあがりません。よく「家の子は1日何度もカンシャクをおこしているから不快刺激は入っています。」というお母さんがいますが、これでは意味がないどころか逆効果です。
 例1、お母さんと出掛け、Aマートの横を一気に通り過ぎてみる。
 例2、他のスーパーの文房具売り場を通り過ぎてみる。
 例3、幼稚園の帰り、お友達母子と一緒にAマートの前を通り過ぎてみる。
 例4、お母さんの顔を見て、口を閉じる練習をする。
 例5、「クレヨンちょうだい。」と言ったらどんなときでも箱ごと渡せる。

第三段階・・・積極的訓練期
 
パニックを誘発するような不快刺激を意図的に入れる。そのためには、特定場面をあらかじめ設定しておく必要がある。
 例1、降園後、お母さんは爽君の手をしっかり握り、Aマートへ買い物に立ち寄る。初めは、文房具コーナーの前を通り過ぎて様子を見る。次に、少しゆっくりめの速度で文房具コーナーの前まで行き立ち止まってみる。最後に、お母さんがクレヨンの箱を手に取り爽君に手渡し、棚に戻させてみる。

 このような、耐性力を確かめる場面でパニックを起こしてしまったら、もう一度、第二段階まで戻してトレーニングします。OKだったら、不快刺激を積極的に取り入れて良い時期に入ったのです。小さいこだわりや反射的な動きも、耐性トレーニングでどんどん改善して、やがて第四段階の安定期が迎えられるようになります。

学習

学習には、耐性・行動トレーニング同様の効果がある。意識を目覚めさせ、耐性と持続力をつけてさらにコミュニケーション(意志の疎通)をはかるには、学習が不可欠である。
コロロでは、学習が実生活に直接結びつくかどうかを重視しない。今行っている学習は、間接的には問題行動の改善に役立ち、その子供の人間形成に寄与してゆくはずである。

詳しくは・・・発達プログラム No.04  学習
学習指導の意義について
なぜ積極的な学習指導を行う事が必要なのか?
 障害児に対する指導を考えるとき、生活にあまり役立たない学習指導は二の次で、生活指導さえみっちり行っていればよい、という声も聞かれるが、この時期(5才くらいから12才くらい)のこの子ども達にこそ、学習指導が基本的に大切であると考えています。

 (1) 高次な脳の神経を一番よく使うのは、何といっても学習指導。
 脳の神経を活発に使うためには、子どもの能力に見合ったレベルで、しかし少し高いところに目標をおいた学習をしなければなりません。今現在の能力でたやすく理解できること、できてあたり前のことばかり行っていたのでは高次な脳の神経を活発に使うことにはなりません。

 (2) 学習指導を行うことは、子どもの困った行動を治す効果がある。
 学習に集中するためには、まず子どもの抱えている困った行動を治すことから始めなくてはならない。正しい着席の姿勢をつくる。持続時間をのばす。我慢する力を身につける。といったよい行動パターン(型)が身につかなければ、学習には入れない。よい行動パターンを身につけるためには、姿勢をつくる。持続力を伸ばす。といった外からの規制を加えると同時に、その子どもにとって、わかりやすい興味のある教材を用意することが、より以上に重要である。学習する姿勢、態度が確立し、教材(注目すべき刺激)によく集中することができるようになれば、さまざまな困った行動は、消退するはずです。

 (3) この時期は、学習をうけいれる適期。
 おくれを持つ子どもの指導にあたる教師は、「まだこの子には、学習などはじめるのは早すぎる」とつい考えがちです。しかし一方、高学年になって学習指導を手がけ始めると、「もう手遅れだ」と感じる場合が少なくない。子どもの能力に見合った目標が設定され、適切な方法で行うことができれば、学習の時期が早すぎるなどということはありえません。

 (4) 学習指導は、作業教育の準備時期(前半段階)として重要。
 正しい姿勢で着席する習慣、手先を使うことに集中すること、これができれば簡単な作業は可能であるから、小学校前半までにこの習慣を確立しておきたい。

 (5) 子どもの能力を最大限に伸ばすのは、学習指導。
 身辺自立など生活面の指導では、一定のステップまでマスターすれば一生それ止まりでよいが、学習指導においては、ステップをふやして学習内容を際限なく展開していくことによって、子どもの能力を最大限にのばしていくことが可能である。もちろん子どもの能力に限界はあるが、つねに限界ぎりぎりのところに、挑戦していなくては、限界レベルの力を維持することはできないし、限界を乗り越えることもできない。発達保障とは、子どもの能力が最大限にのばされる権利であると考えます。

 (6) 学習場面では、子どもとコミュニケーションがとれ共感できる。
 子どもの能力の限界を正確に知り、その子どもの個性に応じた方法を考え出さねば、学習は成り立たない。そうすることによって親が子どものための良き教師となれる。学習上のハンディキャップを背負った子だからこそ、個性を大切にした丁寧な教育ができる。日常場面で、子どもが言葉を理解できない為に、意志の疎通がはかれずむなしい思いをすることは多い。学習場面では「できた!」「わかった!」と共感し、感動する場面が少なくない。 
学習指導上の留意点
@ 短い時間でよいから、毎日行うこと。
 薬としての効能を期待するのであるから、短い時間で毎日、できれば時刻を決めて(たとえば食前とか食後)行うこと。

A 必ず目標をたてて行うこと。
 子どもが好きだからやるままにまかせておくのでは、療育にならない。少し難しいところ、少し抵抗のあるところを、のりこえようとしないと、療育や賦活剤にならない。そのためには、目標をたてて指導にあたることが大切。目標は、その子どもの能力に見合ったもので、少し高いところに置くこと。能力からかけはなれて高くても、低くてもいけない。ほんのちょっと高いくらいにする。

B したがって子どもが少しイヤがるようだったら、意味があると心得ること。
 子どもが少しイヤがるくらいが、薬や療育としての効果があるというふうに考えて、学習指導にあたること。イヤがって抵抗し大暴れするような状態であったらもちろんやめること。

C 叱るのではなく、意識を目覚めさせること。
 学習で叱ってはいけない。生活面では場合によっては、思いきり叱ることも必要だが、学習で叱りたくなった時は、わからないから叱るというのではなく、散漫な注意を集中させるように叱ること。叱られたことによって子どもがハッ!とし、問題(教材)に集中できなければ意味がない。つまり、子どものボンヤリした意識を目覚めさせることが肝要である。

D 実生活に結びつくかどうかということを重視しなくてよい。
 いま、行っている学習がすぐ実生活に結びついて役立つとはかぎらないが、間接的には問題行動の改善に役立ち、その子どもなりの人格形成に寄与しているはずである。学習を、日常生活の場面に結びつけて教えることは、効果的な方法であるが、日常生活に直接役立つかどうかということで、学習の意義を判断すべきでない。学習指導はあくまで教養の観点に立って行うべきであると考えます。 
学習指導の技術
1、姿勢、目線に気をつける。
 子どもの姿全体が視界に入るように対面し、適当に離れて座ること。目線は、子どもを少し見下ろすように少々うつむき加減がよい。

2、よく見るもの、見てわかるものを教材として利用する。
 言葉の理解力に欠ける子どもには、まず教材を見るという行動、そして見ただけでわかる教材を媒介にしてコミュニケーションをはかる。そのためには興味をひくような魅力的な教材を工夫する必要がある。できるかぎり、その子どもの好きなもの嫌いなものの情報を集めておき、教材として利用する。

3、目標は一つに絞る。
 学習を始める前に必ず目標を一つだけ決める。決めたら他のことは少々間違ったり乱雑であっても目をつむること。この他のものを捨てるということが重要。

4、Yes、No、のサインを、子どもにわかるように出すこと。
 学習には当然、答え(結果)が出てくるが、そのとき正誤(Yes/No)のサインを直後にはっきりと示すこと。YesのゼスチャーとNoのゼスチャーが極端に違うくらいが良い。

5、今現在、その子どもが出来ることから始める。
 もともと変化に弱い子ども達であるから、新しいことに対しては混乱したり抵抗しやすい。良くできるものを導入の教材として使い、徐々に新しい課題に向かわせたい。

発語プログラム

詳しくは・・・Q&Aコーナー
         発達プログラム No.36  
                    No.48  早期教育U 発語プログラム
         自閉を超えて 下巻を参照ください。
[これらのプログラムを行っていく上で、指導者側のテクニックとして必要なものが以下の2点である。]

タイミング法

子供のある良い行動を期待して与える大人の刺激(言葉を含む)は、その行動の直前でなければ効果は無い。この指導のコツがタイミング法である。
これは多くの経験と試行錯誤が必要とされ大変に難しい。

詳しくは・・・発達プログラム No.50  タイミング法と教材
       自閉を超えて 上巻を参照ください。

抑制法

抑制法とは、非言語のエネルギー(目線・表情・声など)によって、子供自身のコントロール力を高め興奮した神経を静めて問題行動を収めてゆくものである。

詳しくは・・・発達プログラム No.59  大人の抑制系
       自閉を超えて 上巻を参照ください。


登山・自立歩行

歩行訓練・重心保持訓練の為自閉症児にとっては、他の刺激が入りにくい点で良教材
一応歩いてはいるので気付いている人は少数ですが、(言語認知)障害者・児の歩行には重大な問題があります。
 
 彼らは歩いていても、つま先立ちになっていたり、周期的に飛び跳ねたりしてしまうことがあります。これは乳児期の原始反応・原始運動(脳幹レベルの活動)がより高次の運動(大脳皮質レベル)に組み替わらなかったという運動プログラムの発達過程に問題があります。
 
 このような反射的行動は脳幹で統合されています。これはより上位の脳、大脳皮質によって抑制することができます。この大脳皮質の働きが弱いと反射活動が顕著に現れてしまうのです。
 
 したがって原始反射・原始運動の残存を消去するには、これらの反射行動を抑制しつつ目的行動を取らせることで、行動を大脳皮質の支配下におくよう仕向けることが必要です。
 自立歩行を確立するには、つま先歩きを抑制しながら、集団に合わせて歩く、坂道を速く(または遅く)など、目的を持った歩行練習をする必要があります。

詳しくは・・・発達プログラム No.43  山という教材


DR(ダイナミック・リズム)

 
コロロETセンターの考案した集団運動療法。

 集団で音楽リズムに乗って、いろいろな動作運動をします。
 集団行動の経験のない(言語認知)障害者・児でも、すぐに約2時間の集団行動が取れるように考案されたプログラムです。障害者・児の途切れがちな行動リズムを整え、自立動作(他者からの接触による受け身動作でなく自分の力で規則的にする動作)を身に付けることがねらいです。

◎ 集団で動くことが大きな特徴です。そうすることで「今自分は何をすべきか」が視覚的に分かり易くなります。その結果、歩く・走る・止まるといった基本的な動きを自らコントロールし、集団に合わせられるようになります。集団はなるべく大きく(100名でもよい)動きも単純なものの方が効果的です。

◎ プログラム全体は、動と静の繰り返しで構成され、落ち着いた行動リズムに調整できるようになっています。
◎ 「集会」と呼ばれる場面では全員で着席をし、リーダーの先生が提示する教材や動作を注視したり模倣したりします。

詳しくは・・・発達プログラム No.17  集団
                  No.02  ダイナミック・リズム


   ある日のダイナミック・リズム

T部
  1. コンバットマーチ         (歩く)
  2. トリッチ・トラッチ・ポルカ    (走る)
  3. 地上の星             (動作)
  4. なんでだろう           (グループ行進)
  5. 大きな古時計          (円)
  6. マイム・マイム          (ダンス)
  7. ジェンカ              (ダンス)
  8. PIECES OF A DREAM     (グループ行進)
    • 集会
    • おはなし
    • 人間教材
    • 製作
U部
  1. ボギー大佐            (歩く)
  2. トランペット吹きの休日     (走る)
  3. 鉄腕アトム            (動作)
  4. 亜麻色の髪の乙女        (グループ行進)
  5. 森のくまさん           (円)
  6. マイム・マイム          (ダンス)
  7. エアスコ・コロー         (ダンス)
  8. 白い恋人達           (グループ行進)
    • 静座
    • 音楽鑑賞


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