| 基本課題・・・・・トータルケアの療育課題を考える前に、まず自閉症療育において年齢を問わずおさえておかなくてはならない基本課題を抜き出してみます。いずれも自閉症状の特徴といえます。 |
@ 睡眠リズム
睡眠障害を持つ自閉症児は多く、睡眠が十分に取れないことが日中活動に影響してしまうこともあります。睡眠と覚醒のリズム(バイオリズム)を24時間周期に整えるためには、「日中十分に活動すること」(起きていてもぼんやり、ゴロゴロとしていたのでは夜眠れません)が第一です。頭も体も良く使う活動プログラムがどの年齢でも必要です。 |
A 行動リズム
手たたきなどの常同行動が、一定の周期で繰り返されるような体のリズムを「行動リズム」と呼びます。座っていたかと思うとすっと立ち上がってちょっと歩いてまた座る・・・一定の行動が続かないで落ち着きがないのは、「あきっぽい性格だから」という問題ではなく、行動リズムの乱れによるものです。行動リズムが小刻みなのは自閉症児の特徴のひとつで、多動といわれる子はもちろん、逆に固まって動かなくなってしまう子(寡動)も行動リズムが乱れています。いろいろな技術を身につけても行動リズムが乱れていると一定の作業を続けて行うことが出来ません。行動リズムを調整するためには「〜し続ける」(歩き続ける・座り続ける・見続ける・やり続ける・・・)ことを訓練するプログラムが有効です。最も取り組みやすいのは歩行(1時間以上休まず歩く)や着席(20分以上座り続ける)などのプログラムです。 |
B 意識レベルの保持・反射の抑制
覚醒しているとき私たちの脳は興奮していろいろな情報が処理されています。大脳新皮質の前頭前野という部分が情報処理をしていると考えられています。この部分がうまく働いている時は「意識レベルが高い」時で、頭を使っている考えている状態です。自閉症児は意識レベルが高い状態を維持しているのが難しいようです。意識レベルが下がると無目的な常同行動がでたり、反射的な運動が出てしまいます。歩いていても急に飛び跳ねたり、食べているのに急に舌で食べ物を押し出してしまうのは、乳幼児期の原始反射が体に残っているためで、それが意識レベルの低下によって引き出されるのです。
意識レベルの低下を減らすには、今何をすべきか目的をはっきりさせそれが見て分かるように環境設定することです。「座るときはみんな座る」「立つときはみんな立つ」というように、集団を上手に使っていくと効果的です。さらに反射を出にくくするためには指導者が上手に援助していくことが必要です。 |
C こだわり(パターン反応)の低減
一度やったことがパターン化してしまう「パターン反応」は自閉症の認知の特徴だといえます。コロロメソッドの「最初からよいパターンを作る(まちがえさせない)悪いパターンは繰り返さない」という指導方針は自閉症のパターン反応を活用したものです。学習もパターンを利用すると文字書きや、やりとりが教えやすくなります。
その一方でパターンを壊されるとパニックになってしまう「こだわり」の問題があります。激しいこだわりは自閉症児の社会適応を阻む要因になります。こだわりの改善なくして(こだわりの活用だけでは)自閉症者の処遇の改善は困難です。
まず、こだわりを崩されることに慣れること、崩せる小さなこだわるから崩し、違うパターンを経験させることです。これが耐性トレーニングです。スケジュールや道順や配置などを意図的に変えていくのです。
そしてもう一つは、まさに自閉症状の本質である「パターン反応・パターン認識」を変えていくことです。ことばを使った概念学習がその道筋を照らすでしょう。 |
D マイペースの抑制とユアペースの獲得
集団と一緒に行動できるようにすることでマイペースな行動を減らしてゆきます。なにか思い立つと走って行ってしまうとか、待てないとか、全部自分でやりたがるとか、一方的にしか話さないとか・・・といったマイペースさは自発性といわれることもあるでしょう。「自分でも出来るけれど相手にも合わせられる」という状態を目指すには、集団行動を徹底して練習してゆくことが効果的です。 |